工場の暑さ対策で屋根遮熱工事(カバー遮熱工法)を行いました

折板屋根のカバー遮熱工法とは?

折板屋根のカバー遮熱工法とは既存の折板屋根の上に裏面に遮熱材(アルミニウム製)を貼り付けた折板屋根を重ねて葺く施工方法です。
従来のカバー工法の目的は冬の寒さ対策として既存屋根と重ねる屋根材のすき間に断熱材のグラスウール(100mm)を布設して断熱性能を上げるための施工でした。
しかし夏の暑い季節では輻射熱によって温められた断熱材が保温材の役目として働いてしまうため、建物内の温度を暑くする要因となっています。

今回行った遮熱カバー工法は断熱材のグラスウールは布設せずに、遮熱材で輻射熱を反射して建物内部への熱の進入を防ぐ暑さ対策に特化した施工方法です。気温が35℃を超える炎天下の折板屋根の表面温度は60℃以上になりますが、上屋根と既存屋根に挟まれた空間の温度は遮熱材で輻射熱を90%以上反射するため40℃前後(外気温よりは高温)に下げられます。
この挟まれた空間の(外気温より温かい)空気は棟(水上)方向に流れて外部放出する構造にしてあるため、軒先(水下)からは外気温の空気が流れ込むことになり、この空間の温度は外気温より少し高い温度をキープすることになります。
この時、建物内部の屋根付近の温度が、挟まれた空間の温度より高い場合は屋根外側に熱が放出されるため建物内部の屋根付近の温度を抑える働きも期待できます。

このように、遮熱施工をしない建物は60℃以上に熱せられた折板屋根からの輻射熱が降り注ぐ状態なのに対し、遮熱施工をした場合は屋根からの輻射熱を大幅に防いで建物自体の高温化を抑えることができて冷房がよく効く状態になります。
冷房効率が上がれば使用電力も減って電気料金が下がってコスト削減を実現します。

「屋根材の裏面に遮熱材を貼っても遮熱効果があるのか?」
と疑問を感じる方がほとんどでしょうが、これは遮熱材の放射率の特性を活用した施工方法で効果があるのは実証済です。(ご希望があれば実演キットで体感していただくことも可能です)

カバー遮熱工法を選んだ理由

今回この工場の暑さ対策で遮熱工事をするにあたり優先して考慮したのは遮熱材の耐久性でした。
遮熱工事の施工方法としては、屋根上に遮熱材を施工する方法と屋根下に遮熱材を設置する方法に分かれます。
この工場では高所作業車では作業困難なことと、内部足場を設置して数日間稼働を止めることが難しいことから施工方法としては屋根上施工しかありませんでした。
屋根上に遮熱材を施工する方法は屋根表面に遮熱材を貼る工法がありますが、常に屋外に露出している遮熱材の耐久性は10年程度と言われています。(昨今の気候を考慮するともっと短くなるかもしれません)
お客様としては数百万円の改修工事が10年持つか持たないかでは困ると考えており、耐久性を重視したいという意向が強くありました。
今回採用した遮熱カバー工法なら遮熱材は屋根裏面にあるため劣化もしにくく折板屋根材自体の耐久性は30年以上ですから遮熱効果の耐久性に関しても問題ありません。当社としても折板屋根のカバー工法には慣れていますから自信を持ってお勧めできる遮熱カバー工法での施工を行うことで納得していただけました。
この工場では内部の遮熱・断熱施工も行っており、冬の寒さに効果があったとの報告を頂いています。
今回の屋根遮熱工事の効果がどれほどのものかは暑い季節になれば判明すると思います。

折板屋根建物内部の暑さは遮熱工事で対策しましょう

折板屋根建物の高温化を防ぐには屋根からの輻射熱を防ぐことが1番効果的です。
できれば南面と西面の外壁からの輻射熱も抑えると建物内部の温度を下げる効果は高いのですが、まずは屋根の遮熱工事が最優先といえます。
折板屋根の遮熱工事には、【屋根上施工】と【屋根下施工】の2パターンがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
【屋根上施工】は遮熱効果が高いですが施工コストは高めで、施工は天候に左右されがちなため雨季や真夏の時期は施工が難しい面がありあます。
【屋根下施工】は建物内部の状況や秘密保持、施工期間の問題でそもそも施工出来ないケースも考えられます。
遮熱材の劣化の心配が少なく遮熱施工コスト自体は抑えられますが、屋根が高いと足場工事の費用が高額になります。
このようなことから、遮熱工事はその建物の使用条件や予算、施工時期なども考慮して検討する必要があります。働く環境の暑さ対策をするなら、まずは屋根の遮熱工事をご検討することをお勧めいたします。
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